ご挨拶
当院の消化器内科は南加賀地区における急性期基幹病院として肝臓、胆道・膵臓、消化管(食道、胃、小腸、大腸)といった消化器全般の診療を幅広く行っており、腹痛や黄疸、吐血や下血といった消化管出血などの急を要する疾患に対しても24時間オンコール体制をとって診療にあたっております。また、当院はがん診療連携拠点病院、日本肝臓学会認定施設、日本消化器病学会指導施設、日本消化器内視鏡学会指導施設であり、最新の専門的な医療を提供いたします。
診療内容
消化器はヒトの内臓の中でも、重量・体積ともに最も大きな割合を占めています。それだけに、消化器内科が担当する疾患も非常に多岐にわたります。肝臓領域ではB型・C型肝炎をはじめとする各種肝炎、肝硬変や肝細胞癌、胆道・膵臓領域では胆道結石や胆道腫瘍および膵臓腫瘍における閉塞性黄疸(胆道が閉塞して黄疸をきたす状態)、急性・慢性膵炎、消化管領域では逆流性食道炎、食道アカラシア、胃・十二指腸潰瘍、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(自己の免疫が異常をきたし腸管に炎症を起こす病気)、良性・悪性の各種腫瘍など、幅広い領域にわたり専門的な診療を行っています。
主な疾患
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肝臓疾患
C型肝炎に対しての抗ウイルス療法の進歩は著しく、インターフェロンを用いない経口剤による抗ウイルス薬にてC型肝炎ウイルスを消滅させることが可能です。B型肝炎に対してはB型肝炎ウイルスを消滅させることはまだできませんが、ウイルスを抑える経口剤である拡散アナログ製剤によりウイルスの増殖を抑えて肝硬変に至らないようにすることは可能です。また、近年増加しているアルコール摂取に関係ない脂肪肝による肝炎(MASH、旧NASH)に対しても必要あれば肝臓の細胞を採取する肝生検などを含めた検査を行い治療しています。肝細胞癌に対してはラジオ波焼灼療法(RFA)といった皮膚から針を刺して癌細胞を焼灼する治療を行っています。
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胆道・膵臓疾患
胆道結石に対しては積極的に内視鏡治療による結石の排石を行っています。また、胆道腫瘍および膵臓腫瘍による閉塞性黄疸に対しては内視鏡治療もしくは経皮的治療(皮膚から針をさして行う治療)を行い、近年は超音波内視鏡を用いた治療(EUS-BD)も積極的に行っています。胆道腫瘍および膵臓腫瘍そのものに対しては内視鏡的逆行性胆管・膵管造影や超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)にて細胞を採取し正確な診断を行っています。急性・慢性膵炎に対しては適切に治療を行い重症化した際は腎臓内科と連携をとり、必要あれば透析治療も行っています。
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消化管疾患
逆流性食道炎に対しては基本的には薬剤治療ですが、薬剤治療に抵抗性で食道裂孔ヘルニア(食道と胃のつなぎ目が緩い状態)を有する患者さんには内視鏡治療(ESD-G)も行っています。食道アカラシアに対してはバルーン拡張を積極的に行っています。胃・十二指腸潰瘍による出血に対しては内視鏡的に止血を行い、潰瘍に対する薬剤治療を行い、ヘリコバクター・ピロリ感染の関与を調べ、関与が疑われる場合は除菌治療を行います。クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患に対しては近年薬物治療の進歩にて様々な薬剤が使用できるようになり、病態や患者さんの生活スタイルに併せて治療を提供しています。良・悪性腫瘍についてはNBIといった画像強調システムや拡大内視鏡を用いた正確な診断を行い、内視鏡治療可能と判断した際は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を中心とした低侵襲の治療を行っています。
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根治不能の進行した消化器癌
残念ながら手術などの根治不能の進行した消化器癌に対しては抗がん剤治療や放射線治療を行います。癌に伴う症状に対しても積極的に治療を行います。
当科の特長
当科は肝臓専門医・指導医、消化器病専門医・指導医、内視鏡専門医・指導医を取得したスタッフが複数名おり、全ての分野で専門的な医療を提供することが可能ですが、そのなかでも特に消化管や胆道・膵臓疾患における内視鏡診断・治療に力をいれています。消化管においては拡大観察を行うことができる内視鏡を多数揃えており、病変が存在した際にすぐに拡大観察にて質的診断を行い、内視鏡治療適応の腫瘍と判断した際は積極的に内視鏡治療を行っています。また、胆道・膵臓疾患において病理診断を行う方法である超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は南加賀で行うことができる医療機関は当院以外にほとんどありません。
当科では癌に対する抗がん剤治療の専門資格であるがん薬物療法専門医を取得したスタッフがおり、消化器癌における抗がん剤治療に長けています。
当科は治験や臨床試験も積極的に行っています。治験についてはまだ有効かどうか定かではない治療であり治療効果については疑問が残るかもしれませんが、治験に参加中は医療費がほとんど不要になるなどのメリットもあります。現在のところ治験は炎症性腸疾患が中心であり、対象となる患者様には説明させていただきます。臨床試験についてはある程度有効性が予測された治療法が本当に有効かどうかを実証する試験です。将来有効な治療法をいち早く受けることができるかもしれません。こちらについては肝臓や消化管領域を中心に現在は行っており、対象となる患者様には説明させて頂きます。
医師紹介
またの ゆたか
又野 豊
役職 | 診療部長 |
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専門分野 | 消化器疾患全般 |
資格 |
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みわ かずひろ
三輪 一博
役職 | 担当部長 |
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専門分野 | 消化器疾患全般 |
資格 |
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いとう れんま
伊藤 錬磨
役職 | 医長 |
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専門分野 | 消化器疾患全般(内視鏡診断・治療、消化器癌診断・治療) |
資格 |
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もものい まさえもん
桃井 午左衛門
役職 | 医師 |
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専門分野 | 消化器疾患全般 |
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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初診 | 桃井 | 伊藤 | 桃井 | 又野 | |
再診 | 三輪 | 又野 | 三輪 | 伊藤 |
診療実績
診療実績(2022年度) | |
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上部消化管内視鏡検査 | 3053件 |
下部消化管内視鏡検査 | 988件 |
小腸内視鏡検査 | 14件 |
内視鏡的消化管止血術 | 75件 |
内視鏡的食道静脈瘤結紮術・硬化療法(EVL・EIS) | 7件 |
消化管ステント留置術 | 41件 |
内視鏡的粘膜切除術(EMR) | 204件 |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) | 55件 |
超音波内視鏡検査(EUS) | 15件 |
超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA) | 37件 |
超音波内視鏡瘻孔形成術(EUS-BD、EUS-CD) | 2件 |
内視鏡的逆行性胆管膵管造影ならびに内視鏡処置(ERCP、EST、EPBD、ERBD) | 189件 |
電気水圧衝撃波結石破砕術(EHL) | 4件 |
経皮的ドレナージ(PTCD、PTGBD、PTAD) | 18件 |
肝ラジオ波焼灼療法 | 3件 |
連携病院・開業医の先生方へ
平素より病診連携、病病連携にご協力頂き誠にありがとうございます。当科では様々な消化器疾患に対して最新の専門的な医療の提供を心掛けています。先生方から御紹介いただきました患者様に対して速やかに診断し、最善の治療を行わせていただきます。全ての患者様、ならびに御紹介いただいた先生方に満足して頂けるよう日々精進いたします。一度専門的に診療が必要だと思われる患者様がおられましたら遠慮なく御紹介ください。その際に当院は基本的に予約制となっており、お待たせする場合もあるかもしれませんが、緊急性がある患者様に対してはすぐに診させて頂きますので遠慮なくお問い合わせください。
よろしくお願いします。