ご挨拶
当院で行われる手術のうち、主として全身麻酔を必要とする手術の全身管理を3名の麻酔科医が担当しています。手術中の全ての管理は多職種によるチーム医療に基づいて行われますが、麻酔科医はそれを統括する役割を担っています。安全でなおかつ質の高い麻酔管理を提供できるように、日々努めています。また、周術期管理チームを組織・統括して、手術後の痛みに対する管理にも積極的に関与しています。
診療内容
- 年間約1200件の全身麻酔・硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔などの麻酔管理を、麻酔科スタッフ3名で行っています。手術を受けられる患者さんの高齢化・ハイリスク化が年々進んでいますが、最新の麻酔技術を随時導入することによって、安全・安心な麻酔管理を行っています。
- 術後疼痛に関しては、硬膜外麻酔や麻薬の持続静注を用いた患者調節型鎮痛法(PCA)、最近では超音波ガイド下末梢神経ブロックを積極的に取り入れて、痛みが少ない快適な術後を提供出来るように努めています。さらに、2022年10月から多職種による術後疼痛管理チームを組織して、きめ細かい調節を行っています。
- 当院は南加賀救急医療センターを併設することから、緊急手術が約15%を占めています。休日・夜間の緊急手術に対応するため、スタッフが交代で24時間待機しています。
- 日本麻酔科学会認定病院となっており、金沢大学麻酔科とグループを形成して麻酔科医の育成にも取り組んでいます。
主な疾患
主として全身麻酔を必要とする手術の麻酔管理(脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、内分泌外科、産婦人科、整形外科、形成外科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科など)
医師紹介
にしむら かずひろ
西村 和浩
役職 | 担当部長 |
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専門分野 | 麻酔 |
資格 |
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しょうだ よしみ
庄田 佳未
役職 | 医長 |
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専門分野 | 麻酔 |
資格 |
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おおた しょうご
太田 昇吾
役職 | 医師 |
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専門分野 | 麻酔 |
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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庄田 | 西村 | 西村 | 太田 | 庄田 |
診療実績
総手術件数 | 麻酔科管理症例数 | |||
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全身麻酔 | 全身麻酔以外 | 合計 | ||
令和元年(2019) | 2,090 | 1,170 | 49 | 1,219 |
令和2年(2020) | 1,769 | 1,001 | 33 | 1,034 |
令和3年(2021) | 1,825 | 1,023 | 28 | 1,051 |
令和4年(2022) | 1,969 | 1,102 | 42 | 1,144 |
連携病院・開業医の先生方へ
全身麻酔について
全身麻酔とは、麻酔薬を用いて患者さんの意識を奪うと同時に痛みを取り除く医療行為です。従来は単一の薬剤によって意識消失と鎮痛の両方を実現しようとしましたが、近年の全身麻酔では意識消失と鎮痛を別々に調節する「バランス麻酔」が主流になっています。
バランス麻酔と一口に言っても、使用する薬剤や鎮痛法の組み合わせは多岐に及びます。意識を奪う薬には、呼吸で出入りする吸入麻酔薬、点滴から入れる静脈麻酔薬の2通りがあります。それぞれに利点・欠点があり、患者さんの状態を考慮して使い分けます。痛みを取り除くには、区域麻酔を併用する場合とオピオイド(麻薬などの鎮痛薬)を静注する場合があります。区域麻酔の代表的なものには、硬膜外麻酔と超音波ガイド下神経ブロックがあります。
区域麻酔 ~硬膜外麻酔と超音波ガイド下神経ブロック
硬膜外麻酔は痛みを伝える神経を脊髄の近くでしびれさせる麻酔です。全身麻酔をかける前に背中から細いチューブを入れて、術中・術後にそのチューブから局所麻酔薬を注入して痛みを取り除きます。特に、傷の大きな手術では極めて有効な鎮痛法です。
ところが最近は、心臓・脳の病気や血栓の予防・治療のために血を固まりにくくする薬を使用している患者さんが少なからずおられ、硬膜外麻酔を実施できないことがあります。また、腹部や胸部の手術は腹腔鏡や胸腔鏡を用いて行うのが主流となり、数センチ程度の小さい傷で終わることがあります。このような場合に有効な鎮痛法として、超音波ガイド下神経ブロックが近年注目を集めています。超音波装置を使って手術の傷に分布する神経やその通り道を確認し、その部位に局所麻酔薬を作用させる鎮痛法で、特定の部位の痛みを選択的に軽減します。近年、超音波装置の解像度が飛躍的に向上し、神経そのものや神経の通り道である筋膜(筋肉の境目)などが良好に描出できるようになり、少ない麻酔薬で確実に痛みを取り除くことができるようになってきています。