がん治療における手術治療の役割
手術治療は全身麻酔も必要となり、患者にとっては大きな身体的負担となります。安全に回復し社会復帰するために、我々外科チームは細心の注意を払います。一方でいつ手術を受けることになるかもしれない中で、みな普段から健康な体づくりを意識し、糖尿病、高血圧、肥満、脳梗塞、心疾患、呼吸器疾患のなどの持病(基礎疾患)については良好な状態にしておくことが大切です。
がんの根治(治癒を目指す)
早期のがんであれば転移をする前にがん組織を完全に取り切ることでがんを治癒させることができます。進行がんであっても術前検査で病気の広がりを把握し手術を行うことで根治を目指します。「近年では手術前に抗がん剤による治療(術前化学療法)を行うことで、がん病巣を縮小させて手術による根治性の向上を図っております。
がんの診断、進行度診断
手術で組織を切除し摘出することでがんの診断と治療に有用な情報を得られます。また、がん部とともにその周囲のリンパ節を摘出(郭清)することでがんの進行度が決定され、その後の追加治療の必要性を判断し、術後の経過観察への心構えができます。
症状緩和
がん部による症状を認め、そのために急速な状態悪化や生活に支障を来している場合、がんの根治を目指すのではなく、症状緩和を目的とした手術によって状態の改善をもたらすことができます。