放射線療法の特長
放射線治療は手術や薬物(抗がん剤など)治療と並ぶ、がんの三大治療のひとつです。放射線を病変部に当てることでがん細胞を破壊したり、がん細胞の増殖を妨げたりすることでがんを治していく治療です。また、がんによる痛みを和らげたり再発を予防したりすることを目的に行うこともあります。できる限り病変の範囲に絞って少しずつ放射線を当てることで、副作用が少なくなるようにしています。そのため手術の難しいご高齢の方や体力のない患者さんでも治療をうけることができ、病状によっては外来通院での治療も可能です。2021年に放射線治療装置が更新され、より精度の高い放射線治療ができるようになりました。
保有機器の紹介
放射線治療装置 VERSA HD(ELEKTA社)
当院では2021年4月から放射線治療装置VERSA HD(ELEKTA社)を導入して放射線治療をおこなっております。3次元CTデータを用いて、誤差1mm以内という正確な位置合わせのもとでの放射線治療が可能です。
体表面光学式トラッキングシステム Catalyst
医療従事者の被ばくがなく患者さんのセットアップができ、リアルタイムで患者さんの動きを観察することができます。この装置のおかげで、従来のように体にマーキングの印を書かなくても放射線治療をすることができるようになり、患者さんの負担の軽減につながっております。この他にも種々の専用の装置を用いて、精密かつ、安全、安心で苦痛の少ない放射線治療を提供しております。
放射線治療を行った症例
年間150~180程度の患者さんに対し、約3500回の放射線照射を行っております。
- 喉頭がん
- 咽頭がん
- 口腔がん
- 食道がん
- 肺がん
- 乳がん
- 胃がん
- 肝がん
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 尿管がん
- 直腸がん
- 子宮がん
- 外陰部がん
- 皮膚がん
- リンパ腫
- 骨転移、脳転移、リンパ節転移
- ケロイド(皮膚の良性疾患)など
放射線治療の流れ
放射線治療が始まるまでのおおまかな流れは、以下のようになります。
1.放射線治療医の診察
- 放射線治療医から放射線治療について、副作用や治療回数などの説明があります。
- 治療に関する同意をいただけましたら、その後看護師から、治療開始日や放射線治療に関する注意事項などの説明があります。
- 放射線治療計画用のCT撮影を行います。治療が開始された後の照射部位の位置の確認目的に、撮影後、場合によっては体表に印を書かせて頂くことがあります。
2.放射線治療の計画
- 放射線治療計画用CTにて撮影された画像データを基に、放射線治療医が最適な治療プランを作成します。
- 放射線治療担当技師が、放射線治療医が作成した治療プランと、実際の放射線治療プランに違いがないか、検証を行います。
3.放射線治療の開始
- 放射線治療計画用CT撮影の際と同じ体位となるようにして寝台に横になっていただきます。
- 初回の放射線治療の際は少々お時間がかかります(20~30分程度)が、2回目からの放射線治療は、入室から照射終了まで15分程度で終わります。
- 放射線治療期間中は、週1回放射線治療医の診察があります。その他何か気になることがあれば放射線治療室スタッフにお申し付けください。
強度変調放射線治療(IMRT)
新しい放射線治療装置では、強度変調放射線治療(IMRT)にも対応しており、周囲の臓器への過剰な放射線照射を減らして標的臓器に集中した線量を照射することが可能となっております。現在は前立腺がんのみに対応しておりますが、今後治療対象となるがんの種類を増やしていく予定です。