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泌尿器科 診療部長 北川 育秀

診断から治療まで泌尿器の悩みをもつ人々の力になりたい

泌尿器の病気を内科・外科の両面からトータルに診療し、その傍らで経営管理学も学んできた北川育秀医師。通院治療が長期になることも多い泌尿器科において、北川医師が重視するのは患者さんに病気を自分事として認識していただくこと。そのためにどんなコミュニケーションを心がけているのか、そして病院内外の医師とどう連携しているのかお聞きしました。

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内科・外科の両面を兼ね備えた特性に魅力を感じ、
泌尿器科へ

医学部に入ってみて思ったのですが、医師をめざす人には、小児期に体が弱かったり小児喘息の経験があったりする人が多いようです。実は私もその1人で、病院にかかる機会が多い子どもでした。受診したときに医療従事者の姿を間近で見るうち、病気で困っている人々を助ける仕事に憧れたんでしょうね。最初は漠然と「こんな仕事があるんだな」と眺めるだけだったのが、いつの間にか将来の仕事として考えるようになっていました。小学生のときに流行った漫画、『ブラック・ジャック』を読んだ影響もあるのかもしれませんが、「人のためになることをしたい」という気持ちは現在も続いていると感じています。

小児喘息を患った経験があったとはいえ、そのまま小児科や呼吸器科を目指したわけではありません。私が関心を持ったのは、幅広い診療を必要とする泌尿器科でした。泌尿器科は小児から高齢者まですべての年齢層の患者さんに関わる科です。なおかつ、外来で行うような内科的治療から、腎臓移植のような手術も含め、外科的治療にも対応しなければなりません。対象とする臓器も、腎臓や膀胱など尿路全般という広範囲に渡ります。これはやりがいがある分野だと感じ、泌尿器科に進むことにしました。

実際に入局してみると、泌尿器科では救急疾患が多いわけではなく、悪性疾患ばかりでもありません。かといって良性疾患ばかりでもない。泌尿器の病気にはそんな側面があり、いいバランスで診療していける診療科だと思っています。

経営管理を学ぶ中で医師としての視野が広がった

大学の講師を経て、当院に来たのは2017年4月のことでした。泌尿器科の担当部長になったとき、「これからは病院全体のことも考えなければいけないんだな」と思うことがありました。ちょうどそのころ知り合いの医師が海外の大学院で経営管理を勉強したと聞いて、「私もぜひ学んでみたい」と思ったんです。それで東京のビジネススクールに8カ月通学し、オンラインで講義を受けるというスタイルで、イギリスの大学院で経営管理学修士を取得しました。

医師は医療に関して深く学ぶ一方で、経営や組織管理などを勉強する機会はほとんどありません。私自身もこの分野に初めて触れてみて、広い視野で物事を捉えることの重要性を知りました。目の前の患者さんの治療にあたるだけでなく、「他職種」の人たちがどんな業務を担っているのか、そして病院内外を問わず「多職種」と連携するためにどうすればいいのか、そういったことを理解しようと努めるようになりました。院内で色々と調整を図るとき、このような視点を活かしていきたいと考えています。

大学病院に長く勤務していた影響なのでしょうか、私は経営管理以外のことについても常に研究する姿勢を大事にしたい、リサーチマインドを忘れないでいたいという意識があります。学会発表や論文作成を支援してほしいとよく頼まれるのですが、そんなときも協力は惜しまないようにしています。

開業医と密に連携し、
紹介患者をしっかり治して地域にお返しする

都市部では泌尿器科のクリニックが比較的多くなりましたが、地方ではまだまだ少ないのが現状です。ここ南加賀医療圏も例外ではありません。そんな状況下で、私たちはこの地域における基幹病院の泌尿器科として、外来診療から手術まで対応できる点が強みです。

当科では腎臓や膀胱、前立腺などのがんや精巣腫瘍のほか、排尿障害の患者さんも多く診療しています。患者さんの多くはご高齢の男性ですが、排尿障害に関しては女性もかなり受診されています。ただし、皆さんいきなりここを受診するわけではなく、まずはかかりつけの内科などにかかって診断を受け、手術など高度な治療を要する場合に紹介状を持ってこちらにお越しになるのが基本です。中には診断がつかず、当院で精密検査を受ける目的で紹介される方もおられます。私たちは紹介を受け付けた患者さん一人ひとりのキャラクターを考慮し、地域の開業医の先生方と連携して診療するよう心がけています。万一、当院でも対応できないような最先端の治療が必要となることがあっても、大学病院などにスムーズに紹介するのでご安心ください。

南加賀医療圏で初となる、
女性に特化した泌尿器外来を設置

泌尿器の病気の中には、骨盤の中におさまっている子宮や膀胱などの組織が体外に脱出してしまう、骨盤臓器脱という概念があります。当院では女性の骨盤臓器脱とともに排尿障害も含め、女性を対象とした泌尿器外来を設け、週1回、金曜の午後に紹介のあった患者さんを診療しています。この専門外来は私が当院に着任した数カ月後に開設しました。大学病院にいた時代からこの分野の診療や研究を進めてきたので、そのまま当院でも継続しているわけです。

地方では泌尿器科自体がまだ少ないとお話ししましたが、それは女性の泌尿器科に関しても同様です。女性の泌尿器科に特化して専門的に診療する医療機関は、婦人科も含め、それまで南加賀地域にはありませんでした。この地域で唯一、手術治療まで対応するという位置づけで、地域の女性の皆さんのお力になれたらと思っています。

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他科の医師と連携してロボット支援手術がスタート

医師になったばかりのころと比べると、医療は大きく進歩しました。例えば、がんの治療が劇的に進んで新薬が次々に開発されるようになり、抗がん剤だけでなく分子標的薬も出てきました。外科的治療においては腹腔鏡手術が始まり、現在ではロボット支援手術の時代が到来しています。患者さんが医療から受ける恩恵がますます大きくなったのは、医師として非常にうれしいことです。

手術支援ロボットに関しては、当院では2024年2月より導入しました。先陣を切ったのは外科ですが、私たち泌尿器科もそれに続く予定で準備を進めています。手術支援ロボットの導入は、他の診療科の医師と連携を取りながら進めてきました。当院には総勢約60名の医師が在籍していますが、多すぎず少なすぎず、お互い相談しやすい雰囲気でやっています。ちょうど名前と顔が一致するくらいの規模ですので風通しが良く、スムーズに連携できる点は当院の強みの1つですね。

治療を前向きに続けるためには
「病識」を持つことが欠かせない

この地域に限ったことではありませんが、私たちが接する患者さんはご高齢の方が多い状況です。どなたも手術で治るような病気ばかりとは限らず、例えば前立腺がんや排尿障害の薬物療法のように、長期にわたる内科的治療が必要となる患者さんが少なくありません。そのためご自身の病気と長くつき合っていく上で、患者さんには病気を自分のこととして認識してほしいと考えています。お薬を受け取ることだけを目的として通院するよりも、「病識」がきちんとあるほうが前向きに治療を続けられるようになります。ですから、皆さんにご説明する際はできるだけ分かりやすく話し、スムーズに理解してもらえるよう気をつけています。

患者さんの中にはご高齢で1人暮らしの方もおられるため、病院で診療して終わり、とはならないこともよくあります。患者さんが病院から施設や在宅に戻っていくとき、どうするのが最適なのか。このような問題は私たち医療従事者だけでなく、行政も巻き込んで皆で考えていかねばならない時代になってきました。私たちは行政の会議や委員会に参加することもありますが、おそらく今後はそういった機会がさらに増えるのではないでしょうか。病院として早め早めに患者さんの状況を把握して退院調整を進める仕組みを、今後はもっと発展させる必要が出てくるだろうと思っています。

健康への関心が高まれば、
重大な病気に早く気づくことができる

男性がかかるがんのうち最も多いのが前立腺がんで、健康診断や人間ドックの血液検査でPSAという腫瘍マーカーが高値になって当院へ紹介される人が多く見られます。腎臓や膀胱のがんの場合は、人間ドックや内科で腹部エコー検査を受け、「腫瘍のようなものが存在する可能性があります」と指摘されて受診する人も増えています。その一方で、がんが進行して症状を自覚して初めて受診するような方もいらっしゃるので、皆さんには検診をしっかり受けてほしいと願っています。これは泌尿器科に限らず、すべての医師の願いと言っていいのではないでしょうか。

ただし、健康診断や人間ドックの受け方は二極化しています。検査を受ける人は毎年受けているのに対し、受けない人はまったく受けないことが多いのです。健康に無関心であると重大な病気が進行しやすくなりますから、ご自身の健康に関心を持つことは本当に大切です。

排尿の悩みが解消すると「生活の質」が大きく向上する

排尿障害をはじめ、泌尿器の病気はご高齢の方に多く見られます。しかし、だからといって、「高齢になれば排尿障害があっても仕方ない」と考える必要はありません。ある排尿障害の患者さんは、治療を受けて排尿障害が改善したとき、こんなふうにおっしゃいました。「治ったら、未来が広がりました」と。それまで排尿のことでかなり困っていたのに、治療ですっかり良くなると目の前がぱっと明るくなったそうです。その方は80代半ばだったのですが、年齢にかかわらず、どんな人も排尿に関する悩みが解消すると生活が大きく好転することを改めて知りました。これは私が医師になったばかりのころではなく、つい最近のことです。今更ながら、病気を治す中でそんな気づきを得ることがあるんだ、患者さんから教えられることがまだまだあるんだと実感しますね。

異変を感じたら、大事に至る前にかかりつけ医に相談を

頻尿や尿失禁などの排尿に関する悩みは、年をとれば誰でも多かれ少なかれ出てきますし、「こんなことで病院に行くのは気が引ける」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、生活の質を大きく下げる要素でもあるため、何か異変を感じたらまずはかかりつけ医にかかることをお勧めします。泌尿器の専門医でなくても、内科医なら診断して薬を出してくれますし、必要であれば私たちのような泌尿器を専門とする医師に紹介状を書いてくれます。排尿のことでいきなり泌尿器科にかかるのは抵抗があるかもしれませんが、かかりつけ医にちょっと相談するだけなら気軽にできるのではないでしょうか。まずはその一歩を踏み出していただければと思います。

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スタッフインタビュー一覧

  • 副院長 塚山 正市

    フットワークは軽く、こだわりは強く。

  • 循環器内科 診療部長 東方 利徳

    医療者として人として地域とともに

  • 泌尿器科 診療部長 北川 育秀

    泌尿器の悩みをもつ人々の力になりたい

  • 消化器内科 診療部長 又野 豊

    広い視野をもって、全人的な医療の提供を

  • 看護師長 石本 佳美

    患者さんの背景や価値観まで広く汲み取る