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副院長塚山 正市

フットワークは軽く、こだわりは強く。
患者さんに前向きになってもらうための労はいとわない

塚山正市医師が専門とするのは、消化器疾患への外科的治療です。手術後によく感じるのは、患者さんの気持ち次第で回復の度合いも違ってくるということ。患者さんが治療に対して前向きに臨めるようになるためにどうコミュニケーションを取り、どんな診療を目指しているのか、そして自身のモットーである「フットワークの軽い頑固者」とはどんな医師像なのか、詳しく伺いました。

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「消化器の病気を手術で治したい」という
幼少期の思いが現在につながっている

私が当院へ来たのは医師になって10年目のときで、それ以来、消化器外科医としてここで診療してきました。消化器の病気を全般的に対象としており、中でも診る機会が多いのは胃や大腸などのがんです。消化器外科では手術の前後に抗がん剤の治療を行うこともありますが、薬の進歩により、膵臓がんや食道がんのように難治と言われたがんも治ることが増えてきました。

そのほか、胆石や虫垂炎などの良性疾患も診療しています。虫垂炎は、私が医師を目指すきっかけになった病気でした。小学3年生のときのことですが、毎日一緒に遊んでいた幼なじみとその日も一緒に遊ぼうと朝その子の家にうかがうと、腹痛で病院に行き、虫垂炎の手術を受けたと聞きました。その日の夕方、親御さんから連絡を受けてその子の祖母が教えてくれました。母に連れられて私が駆けつけると、その子はすでに亡くなっていたのです。今となっては実際に何が起きたのか不明ですが、子どもが亡くなって誰もが悲しむ光景を見て、「何とかできないだろうか」「手術で病気を治す外科医になれたら」と幼心に感じたんでしょうね。そのときの思いが現在までずっと続いています。勉強や診療で大変なことがあっても、「これは自分一人の人生じゃない、あの子のぶんも生きているんだ」、そう思えるから今までやってこれたのかもしれません。

患者さんの言葉だけでなく、
背景にある気持ちを聞いていく

消化器外科を訪れる患者さんは、開業医からの紹介状を持って来る方や、当院の消化器内科を経由して来る方が大半で、検診で病気が見つかったという方もいらっしゃいます。そのため多くの場合、悪性の病気なのかもしれない、あるいは告知後で治療を受けたいと思ってここに来るわけです。そんな患者さんに接するとき、まずはどんな気持ちでいるかを気づかいます。病名を知って精神的に落ち込んだ様子であれば、何がその人を落ち込ませているのか、背景を知るようにしています。なぜなら、病気のせいで仕事に支障が出ている、親の介護ができなくなったなど、落ち込む原因は人によって違うからです。回復後に何をしたいかという次の目標もさまざまなので、まずは気持ちの背景や先の目標などをお聞きします。

病名を告知する際に配慮しているのは、「がん」などの言葉を極力使わないことです。がんだとか悪性だとか、そんな言葉を必要以上に使ってさらに傷つけるようなことはしたくありません。事実は事実としてお伝えしますが、理解された後はそのときの気持ちを聞きながらご希望を確認していきます。

転移や再発が分かったときも同様です。事実を告知すると、その瞬間、皆さんがっかりして自信をなくされます。しかし、メンタルが落ちたままでは治療がうまくいきません。検査で病気が新たに見つかったとしても今日明日でどうにかなるわけではないという気持ちで、どうか落ち込まないで前向きに治療を受け、元気に長生きしてほしい。そのためにどうするかを一緒に考え、その上で私たちができることを伝えていく、そんなステップで接しています。

「食べよう」という前向きな気持ちが、
治療後の回復を左右する

消化器は、衣食住のうちの食事という、人間が生きていくための根本に関わる臓器です。食べられるかどうかは生命に関わる問題ですから、前向きな人は何とか工夫して食べようと努力するだけあって、予後が圧倒的に良くなります。つまり、患者さんの気持ちが前向きかどうかで、治療後の状態がまったく変わってくるわけです。青い顔でうつむいていると全身の血の巡りも悪くなりますが、笑顔で血色のいい人は、同程度のストレスがかかっても耐性があります。

私たちは患者さんに、たんぱく質・炭水化物・脂質の3大栄養素をバランス良く摂りましょう、特に大切なのがたんぱく質で筋肉をつける必要がある、といった話をします。それを聞いたある患者さんは、「どんな食材がいいのか? 馬肉だろうか、それとも…?」などとご自身で色々調べて実践されていました。そうやって工夫する人は、当然、体重も体力も落ちません。手術の前後に抗がん剤治療を行うようなときは、その土俵に長く立っていられるだけの体力が必要です。その意味でも気持ちが前向きであることが重要なので、患者さんにそうなってもらえるよう関わりたいと考えています。

患者さんの「なぜ?」の裏にある
思いを踏まえて対応する

私は医師になって28年経ちますが、今まで最も難しかった患者は私の母でした。がんだった母は、自分がなぜ病気になったのか、もっといい治療法はないのか…と難しい質問を次々に繰り出してきました。患者さんの質問にはできる限り答えたいと思っていますが、母は一緒にいる家族ですから、質問がいつまでも終わらず大変でした。そんなあるとき、ふと、「実は普段から、患者さんの質問を早く切り上げたいという気持ちがあったのでは…」と感じたのです。時間の制約上、すべての質問にお答えするのはなかなか難しいですが、ちょっと立ち止まって考える契機になりましたね。

患者さんから質問を受けたら、逆にこちらから聞き返すこともあります。なぜ疑問に思うのかを知らないと、患者さんにとって的外れな回答になりかねないからです。自分が言いたいこと、答えたいことだけを返して済ませるのではなく、患者さんの意思を踏まえて答えるようにしています。その為にも、目の前の患者さんにより集中し、より関心を持つようにしています。

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同席するご家族の心情を察し、
話し方を変える配慮を忘れない

病気や治療について説明する際は、配偶者やお子さん、親御さんなど、ご家族もよく同席されます。そのとき、誰が同席するかによって話し方は少し変えています。配偶者であれば、長年ともに過ごしてきた同世代の伴侶のことだけに、本人と同じレベルで落胆されます。子どもの世話や親の介護をどうするかという問題もあって、先々の不安も出てくることでしょう。一方、お子さんが同席するときは、自分より上の世代である親が病気になるので、ある程度受け入れとか久保をされていることが多いようです。それでもご家庭によって受け止め方は異なるので、やはり細心の注意を払って接する必要があります。

親御さんの場合は、患者さん以上に悲しまれます。親の心の中には、幼い子どもが幼稚園、小学校、中学校、とすくすく育ってきた映像が残っているものです。その子どもが病気になった、再発・転移が見つかったとなると、より慎重にお話ししなければなりません。大切なお子さんが病気になってどんな治療が可能なのか、言葉を選んで説明します。皆さんの心情をすべて理解することはできないとしても、理解しよう、丁寧にお話ししようと努める姿勢は忘れないでいたいですね。

元気に帰っていただくためには、
手術翌日の「立位トライ」が必須

手術後の数日間を横になって過ごすと筋力が落ち、その瞬間から寝たきりへのリスクが生じます。そのため、当院では入院したらすべての患者さんに退院支援カンファレンスが入り、場合によっては手術前からリハビリテーション担当者や栄養士が関わって早めに介入していきます。寝たきりを回避するためにも、手術翌日から退院に向けてのリハビリテーションを始めることが大切なのです。

手術が終わると翌日から必ず立ち上がってもらいますが、私たちはこれを「立位トライ」と名付けています。必要に応じて理学療法士もサポートしながら、「一緒に立位トライしましょう!」と言っています。立って歩く感覚を忘れると、そのスイッチが体から外れてオフの状態になり、歩けなくなることだってあり得ます。ですから、「寝ているときも立って歩く夢を見てください」とお伝えすることも。自分が歩く姿を想像するだけでも違ってくると思うので、立つことは本当に重要です。

急患でない限り、消化器外科の患者さんは手術前まで元気に歩ける方ばかりです。元気な方が手術を受けるなら、お帰りになるときも元気なままで、なおかつ病気を取り除いて退院していただきたい。元気な人が入院して手術を受けたら歩けなくなってしまった、ということがあってはなりません。だから手術の翌日からどんどん動いて、リハビリも頑張ってほしいと思っています。

安全・確実で根治性の高いがん診療とともに、
「きれいな傷」を目指す

2024年2月、当院ではロボット支援手術がスタートしました。泌尿器科、呼吸器外科、産婦人科を含む4科でロボット支援手術導入のプロジェクトを立て、2月初旬、初症例の手術を行ったのが私たち消化器外科です。抗がん剤治療は内科でも外科でも行いますが、手術をするのは外科医だけですから、新しい手術方法を取り入れるのは私たちの宿命というか、任務ですよね。これまでも腹腔鏡や胸腔鏡の手術など、体への負担が少ない低侵襲な手術を行ってきましたが、さらに安全かつ確実で、根治性の高いがん診療を可能にしていきたいと考えています。

手術後に関しては、傷の大小を問わず、皆さん傷がどのくらい残るのかを非常に気にされます。いかにきれいな傷にするかは私たち外科医の腕の見せ所ですので、縫合する糸一つとっても質の良いものを選び、できる限りきれいになるよう配慮しています。誰かに「その傷どうしたんですか?」と聞かれたら、「実はこの傷はね…」というふうに皆さん色々お話されるようで、すべての傷にストーリーがあります。だからきれいな傷にしてあげたいし、「きれいな傷で安心しました」と思ってもらえるような手術にしたいですね。

フットワークの良さを活かしつつ、
いい意味で頑固な医師でありたい

私が外科の医師によく話すのが、「迷ったときは良心に従いなさい」という言葉です。良心に従えば、病院が変わっても、違う地域でも、あるいは時代が変わっても治療方針がぶれることはありません。その診断や治療方針が本当に正しいかどうかを考える上で、軸になるのが良心だと思うんです。常に良心に従って治療に臨んでほしいし、万一良心に反するようなことがあったら怒ります。

一方、自分に対しては、「フットワークの軽い頑固者」であることをモットーとしています。足を動かして情報を集めたり、患者さんのところに行ったりする労はいといません。フットワークで勝負している私にとっては、コロナ禍は人に会えない、動いてはならないという状況が辛かったですね。今はそれが解消され、仕事前は朝からランニングしていることもあって万歩計は常に2万歩以上。院内はもちろん、院外でも手術見学や学会に参加したりと、積極的に動いています。

ただ、フットワークは軽いものの頑固者でもあるので、人に言われて何かをするのはあまり好きではないようです。何か言われたら一旦自分の中に落とし込み、必要性を理解してから動くところがありますね。その上で自分なりの見解を加味して患者さんに関わっていく、そんな診療を続けていきたいと思います。

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スタッフインタビュー一覧

  • 副院長 塚山 正市

    フットワークは軽く、こだわりは強く。

  • 循環器内科 診療部長 東方 利徳

    医療者として人として地域とともに

  • 泌尿器科 診療部長 北川 育秀

    泌尿器の悩みをもつ人々の力になりたい

  • 消化器内科 診療部長 又野 豊

    広い視野をもって、全人的な医療の提供を

  • 看護師長 石本 佳美

    患者さんの背景や価値観まで広く汲み取る